認知症の予防に運動が良いとされる理由は?
内閣府発表データによると2年後の2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推測されています。
この記事を書いている私も、読んでいる皆さんも認知症になる可能性は十分にあるのです。
今回は、認知症予防に運動が有効であるという理由を解説したいと思います。
認知症が発生するメカニズムとは?
認知症は、毒素である「アミロイドβ」や、「タウたんぱく」という物質が脳のなかにたまることで起こります。どちらも誰の脳にも発生するものですが、アミロイドβについては通常、その多くが脳のなかにはとどまらずに排出されます。タウたんぱくも過剰に発生することはありません。
運動習慣の有無が要因
健康長寿科学振興財団によると、1996年から2007年までに発表された文献で、運動および身体活動が認知症およびアルツハイマー型認知症発症に関与するか調査した長期疫学研究では、地域在住の高齢者を2.5年から30年間経過観察した報告24論文中、20の論文で身体活動および運動が認知機能低下および認知症の発症に対して防御的な効果があることを報告しています。
運動習慣がない人の脳をみると、運動している人に比べてアミロイドβが排出されずに残り、タウたんぱくが過剰に発生していることがわかっています。
つまり、運動は認知症の原因となる物質を脳から取り除く、もしくは発生を抑制するということです。
運動は神経細胞の成長と新しい神経細胞の形成を促進します。これは、特に脳の海馬と呼ばれる領域において重要です。海馬は学習と記憶に関連しています。
認知症の初期症状と関連していることが多いため、運動による神経細胞の成長は認知症のリスクを軽減させると考えられています。
また運動は血液循環と脳への酸素供給にも重要な役割を果たします。正常な血液流動は、酸素や栄養素を脳に正しく供給し、脳細胞の健康を認知症は、脳細胞の機能や構造に関連する問題によって定められることがあり、運動は脳に酸素や栄養素を供給するプロセスを向上させることで、認知症のリスクを軽減させることが可能です。
運動以外にも、食事(栄養)や睡眠も重要だと言われていますが、別の機会に書きたいと思います。
参考:
第37回(2020年度)若手研究者のための健康科学研究助成成果報告書
財団法人 明治安田厚生事業団