MCI(エムシーアイ)って何?

MCI※は、軽度認知障害のことで、健常者と認知症に中間にあたるグレーゾーンの段階をいいます。 MCIは認知機能である「記憶」「決定」「理由づけ」「実行」のうちの一部に問題が生じますが、症状の程度が軽く、認知症までは進行していない状態とされています。

※MCI=Mild Cognitive Impairment

MCIは認知症そのものではありませんが、健常な状態でもありません。

放っておくと認知症に進行しますが、適切な予防をすることで健常な状態に戻る可能性があります。

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 発行
「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック より引用
https://www.mhlw.go.jp/content/001100367.pdf

日本の認知症の高齢者数は、2012年に462万人、65歳以上の高齢者の7人に 1人と推計されています。
一方MCIの状態にある高齢者は、約400万人。

MCIの人が、必ず認知症になってしまうわけではありません。医療機関でMCIと診断された方が認知症になるのは 1 年で 1割程度。その他の人は、MCIのレベルに留まる人と、年相応のレベルに回復する方もいます。

食事に気を使い、運動や認知トレーニングをすることで健常な状態に戻る可能性が高くなります。もしくは認知症へと進む速度を遅くすることができるか
もしれません。

運動習慣がある方は、認知症になるリスクが低くなる

運動習慣がある方は、認知症になるリスクが低くなるとされています。簡単にできる運動でも認知機能低下の予防や認知症予防に効果があるとされています。

定期的な運動(週3回・週2時間以上)は認知症になる危険性を低くすることが報告されています。また認知症ではない方が5年後に認知症になる原因を調査したところ、定期的な運動をしていた方はそうでない方に比べて認知症のリスクが31%低いことが示されました。

脳は加齢により少しずつ小さくなったり機能が低下したりします。しかし、運動をすることで、脳の血流量が増加したり神経細胞が増えるといわれています。また、運動によって「神経栄養因子」と呼ばれるたんぱく質が増え、脳の容積も大きくなることがわかっています。

人間の体って、何歳までも成長していいくんですね。とても興味深いですね。

どんな運動が良いの?

ウォーキングなどの有酸素運動や筋トレが効果的ですが、スクワットや腹筋運動などのレジスタンストレーニングも有効と言われています。

レジスタンストレーニングは主に筋力増強を目的としたトレーニングであり、機器を用いて負荷をかけるような運動や、自分の体重を負荷にして行う自重運動などがあります。

頻度は、週3日以上の頻度で半年以上つづけての運動、さらには中強度以上(通常の歩行またはそれと同等以上の強度)の運動で、効果が大きくなることが期待されます。

MCIからの回復

MCIは、この様に運動や食生活などの対策をきちんと行うことで健常な状態にもどることがあります。

一度MCIと診断された後に認知機能が正常な状態へと回復する確率は16~41%ほどといわれています。

運動によりMCI高齢者が健常な状態に戻ることは、様々な論文で明らかになっています。

運動介入群では中強度活動時間が有意に増大し,対照群に比べて記憶機能が向上し,さらに健忘型MCIにおいては海馬を含む内側側頭領域の萎縮抑制にも効果が認められた。これまでの先行研究や我々の実施したランダム化比較試験の結果より,MCI高齢者における積極的な運動の促進は,運動機能のみならず,認知機能の維持・向上にも有益な手段となるものと考えられる。

参考:MCI(軽度認知障害)高齢者への運動療法効果
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/65/1/65_133/_pdf

参考:理学療法ハンドブック 認知症
理学療法士協会
https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook08_whole_compressed.pdf